ヒートショック予防法|具体的な8つの対策と費用を徹底解説

「ヒートショックってよく聞くけど、うちの家は大丈夫なのかな…」
そんな不安を一度でも感じたことはありませんか?
冬の浴室や脱衣所のように、家の中に大きな温度差があると、血圧が急に上下し、倒れ込みや意識消失につながる危険があります。特に高齢者や持病のある方は、気づかないうちにリスクが高まっていることも。
でも安心してください。
ヒートショックは 正しい知識と、家の温度差を減らす工夫 を取り入れることで、リスクを大きく下げることができます。ぜひ最後まで読まれてください!
- ヒートショックの基本と危険な理由
- 毎日の寒暖差をやわらげる8つの実践的な方法
- 浴室や脱衣所の寒さを改善するリフォーム・設備対策
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そもそもヒートショックとは?

ヒートショックとは、急激な温度差によって血圧が大きく上下し、体に強い負担がかかる現象のことです。特に冬場の「脱衣所 → 浴室 → 湯船」のように、短時間で寒暖差が大きくなる場面で起こりやすく、失神や転倒、さらには心臓・血管への負担が高まると言われています。
不慮の溺死事故は冬に増える傾向にある

消費者庁が公表している「高齢者の不慮の溺死及び溺水」による発生月別の死亡者数(令和元年)を見ると、入浴中の事故は冬季に大きく増えることがわかります。
この傾向は、冬になると浴室・脱衣所が冷え込み、リビングとの温度差が大きくなることで、血圧が急激に変動しやすくなる点が深く関係していると考えられています。
身体が「ぶるっ」と震えるときは血圧が上がっているサインかも

寒い場所に入った瞬間、身体が思わず「ぶるっ」と震えることがありますよね。
この震えは、単に寒さを感じているだけではなく、体温を守るために身体が反応しているサインです。
人間の身体は寒さを感じると、体温を下げないように血管をぎゅっと縮め、熱が逃げないように働きます。
その際、血管が収縮することで血圧が上がりやすくなると言われています。
血圧が短時間で大きく変化すると、心臓や脳に負担がかかる

短い時間で血圧が上がったり下がったりする状態 が続くと、心臓や脳の血管に負担がかかりやすくなると言われています。
特に高齢者や、血圧・心臓・血管に不安のある方は、こうした変化に身体が追いつきにくく、失神・ふらつき・めまいなどにつながることがあります。
ヒートショックの原因は“家の中の温度差”
このように、ヒートショックを引き起こす最大の要因は、家の中に生まれる大きな温度差です。
特に冬の住宅では、暖房が効いた部屋と、暖房が入っていない浴室・脱衣所の温度差が極端に開きやすくなります。
一般的な住宅では部屋ごとの温度差が大きい
日本の住宅は断熱性能が十分でないケースが多く、暖房のある部屋とない部屋で極端な温度差が生まれやすいのが特徴です。
以下は、一般的な住宅で見られる冬季の室温差の一例です。
| 部屋 | 室温(平均) |
|---|---|
| リビング(暖房使用) | 20℃ |
| 廊下・玄関 | 10〜15℃ |
| トイレ | 8〜12℃ |
| 浴室 | 5〜10℃ |
※国土交通省の調査(2018年)
暖房で20℃あるリビングから、5℃の浴室へ移動すると 最大15℃差があります。
これは「秋から真冬に一瞬でワープ」するような寒暖差です。
これほどの温度変化は、若い人でも負担を感じることがあり、高齢者にとってはさらにリスクが高まります。
最も温度差が大きいのは リビング×浴室

先ほどの表で見たように、冬の住宅の中で 最も寒暖差が大きくなる組み合わせは「リビングとお風呂」 です。
- リビング:20℃
- 浴室:5〜10℃
→ 温度差:10〜15℃
つまり、お風呂まわりの環境改善こそ、一番効果的で優先度も高い対策 と言えます。
次章では、リビングと浴室の寒暖差を和らげる実用的な8つの対策を厳選してお届けします。
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リビングと浴室の寒暖差を和らげる8の対策
冬場のヒートショックを防ぐには、最も温度差が大きくなる
「20℃のリビング → 5〜10℃の浴室」 の冷えをいかに緩和できるかがポイントです。
ここでは、今日からできる方法から設備寄りの対策まで、効果が高い8つの方法 をまとめました。
① 浴室を“3分”あたためてから入る(3分暖め法)

浴室をお湯を使って3分温めるだけで、入室時の“ヒヤッ”が大幅に和らぎます。
- 41℃に設定したシャワーを壁に1〜2分散水
- 湯気を利用して1分暖める
- 換気扇はOFFにしておく
→上手くいけば室温が2〜3℃上がります。湿気により体感温度も大きく改善出来ます。
浴室暖房がなくても今すぐできる、最も手軽で効果的な対策です。
②脱衣所を短時間だけ暖める

脱衣所には必ずコンセントがあるので、小型ファンヒーターを使いしっかり暖めましょう。
- 小型ファンヒーターを使用
- 間取りによってはドアを開けてリビングの暖気を入れる
- 足元にマットを敷く(床が冷たくないだけで体感温度は大きく違う)
③湯温を41℃にする

湯温は41℃以下に設定することで、入浴時の血圧の急激な変動を抑えやすくなります。温度差を小さくするためには「熱い側」を下げることも効果的で、温度差そのものを作らないことが大切です。
- お湯は 40〜41℃ に設定する
- 入浴時間は 10〜15分以内 を目安にする
- 「ぬるい」と感じたら、追い焚きや足し湯で“入ってから”温度を微調整→ 最初から熱いお湯にしない
「少しぬるいかな?」と感じる程度が、身体への負担が最も少ない温度です。
④入浴時間は“夕方〜夜の早い時間”にする

冷え込みが強くなる深夜を避けるだけでリスクは下がります。夜遅くなるほど浴室・脱衣所の温度は下がり、寒暖差が大きくなります。
- 17〜19時頃が理想
- 高齢者は特に深夜の入浴を避ける
⑤入浴前後でコップ1杯の水を飲む

入浴前後に水分を補っておくことで、血圧の変動が安定しやすくなります。
※直接的に寒暖差を和らげる方法ではありませんが、ヒートショックのリスクを下げる重要な補助対策です。
冬は気づかないうちに脱水が進み、血液が濃くなりやすく、血管に負担がかかりやすい状態になります。水分が不足したまま急な温度差にさらされると、血圧の変動が大きくなってしまいます。
- 入浴前に コップ1杯(100〜150ml) の水を飲む
- 入浴後にももう1杯補給する
- カフェイン飲料ではなく水や白湯が最適
水を飲むだけの手軽な方法ですが、身体の負担を減らし、ヒートショックを防ぐための大切なサポートになります。
⑥浴室・脱衣所のすきま風を防ぐ

費用目安:1,000円~3,000円
古い住宅の脱衣所や浴室には大きな窓が設置されていることが多く、隙間風が寒さの原因になっていることがあります。すきま風をなくすと寒暖差を減らすことに繋がります。
- 窓の隙間にすきま風防止テープ
- 脱衣所の窓に断熱シート
- ドア下の冷気ストッパー
⑦内窓を設置して脱衣所・浴室周りの断熱性を高める

費用目安:5万円~15万円
脱衣所や浴室の窓に“内窓(二重窓)”を取り付けると、断熱効果が高まり、リビングとの温度差が小さくなります。
冬の住宅が冷え込む一番の原因は 窓からの熱損失 です。暖房を入れても、古い単板ガラスの窓から冷気が入り込み、脱衣所や浴室周りが 5〜10℃程度まで下がりやすくなります。
内窓を追加すると「外気→既存窓→空気層→内窓」という構造になり、冷気の侵入が大きく遮断されます。
- 工事時間は1ヶ所 30〜60分ほど
- 冬でも外窓からの冷気を大幅にカット
- 結露が減り、カビ対策にもなる

⑧浴室暖房乾燥機を後付けする

費用目安:10万円~20万円
浴室暖房乾燥機を後付けすることで、浴室の温度が安定し、寒暖差による負担を大幅に減らすことができます。
ヒートショック対策の中でも 最も効果が高い設備改善 です。
写真のような後付け専用タイプの浴室暖房機であれば、床と壁がタイルで出来た「在来浴室」にも設置可能であり、費用も工事費込みで20万円ほどで収まることが多いです。
- 入浴10〜15分前に暖房を入れておくと、浴室温度が 5〜10℃上昇
- 電気代は1時間あたり40円程で、月1000円~2000円程かかる計算
- 高齢者だけでなく、小さな子どもがいる家庭でもメリットが大きい
コストはかかりますが、「浴室の寒さ」という根本原因を直接改善できるため、長期的な安心を手に入れたい家庭では最もおすすめの対策です。
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番外編|高齢者がいる家庭で知っておきたい“家族の見守りルール”

高齢者がいる家庭では、ちょっとした見守りだけでもヒートショックによる事故リスクを大きく減らすことができます。ここでは、家族で共有しておきたい “最低限の見守りルール” をまとめました。
入浴前に「ひと言」声をかけてもらう
高齢者が一人でお風呂に入るときは、「これからお風呂入るね」 のひと言だけで安心度が大きく変わります。
- 入浴開始時間が分かる
- 出てこない場合に早期発見しやすい
- 家族側もタイマーなどで把握できる
誰にも言わずに入ることを防ぐだけで事故リスクはかなり下がります。
入浴時間が長い時は軽く様子を見る
高齢者は体力が落ちており、長湯でのぼせるケースが増えます。目安は 15〜20分以内。
いつもより長い?返事が無い?そんな時は軽くノックして声掛けを。
体調が少しでも悪い日は入浴を控える
- 食後すぐ
- 飲酒後
- 立ちくらみ
- 風邪気味
- 寒気・倦怠感
などは血圧変動が大きくなる特徴があります。「今日はやめて、明日にしよう」を家族が促すだけで十分安全につながります。
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よくある質問(FAQ)
- ヒートショックはどんな人が起こりやすいの?
-
高齢者、血圧・心臓に持病がある方、寒い家に住んでいる方が特に注意が必要です。
- 家のどこが一番危険なの?
-
もっとも温度差が大きくなる リビング → 脱衣所 → 浴室 の移動時です。
- お湯の温度はどれくらいが安全?
-
40〜41℃ が目安です。42℃以上は血圧が急に下がりやすく危険です。
- 浴槽に浸からずシャワーだけでも危ない?
-
シャワーだけでも、冷えた浴室に入る瞬間 の血圧上昇には注意が必要です。
- 冬の入浴は何時ごろが安全?
-
寒さが強くなる深夜を避けて、夕方〜夜の早い時間 が安全です。
- 脱衣所や浴室は何℃くらいが安心?
-
できれば 15〜18℃以上 あると寒暖差が小さく、安全に近づきます。
- ヒートショックは若い人にも起こる?
-
可能性はありますが、高齢者ほどリスクは高くありません。寒暖差には誰でも注意が必要です。
- 入浴前にお酒を飲んだ場合は大丈夫?
-
危険です。血圧が下がりやすく、事故のリスクが高くなります。
- どのくらいの頻度で対策すればいい?
-
毎回の入浴で行うことが理想です。習慣にすることでリスクを大きく減らせます。
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まとめ

ヒートショックは、冬場の家の中に生まれる温度差が原因で起こりやすくなります。
しかし、浴室を温める、脱衣所の冷えを抑える、湯温を適切にするなど、今回紹介した対策を取り入れるだけで、身体への負担は大きく変わります。
お風呂場の暖房や内窓の設置は後付けでも十分可能で、費用を抑えながら寒さそのものを改善することもできます。
特に、浴室・脱衣所の環境を整えることは、日々の入浴を“将来の安心”につなげる重要なポイントです。
「寒い浴室が気になってきた」「家族の安全が心配」
そんな方こそ、今日からできる小さな工夫を始めてみてください。入浴の負担を和らげることは、ご家族の健康を守る大きな一歩になります。
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